発酵熱農法
例えば、発生した発酵熱をそのままモーターにまわすことで、直接暖房として使用する方法もあります。また耐熱性・伝熱性の高いホースを熱が生じている堆肥内に埋め込むことで、ホース内を通る水を温め、暖房の熱源として利用する方法もあります。
■堆肥作り
微生物は、有機物の炭素をエネルギー源として、また窒素をタンパク源として利用し増殖します。
微生物が増殖する過程で、有機物の窒素や炭素を消耗することでC/N比(炭素率、有機物に含まれる窒素に対する炭素の割合を示す数値)が低下します。
つまり堆肥化とは、C/N比を下げていくことを意味しています。
・窒素飢餓
堆肥作りには窒素が必要です。 稲わらなどC/N比の高い(炭素の多い)有機物は分解の過程で窒素を消費します。
しかし、有機物自体で窒素をまかなえない場合は、土壌の窒素も利用し、その結果、作物が吸収するはずの窒素が稲わらの分解に利用され生育が阻害されます。これが窒素飢餓です。
窒素飢餓を起こさないためには、窒素を多く含む牛糞や豚ぷんなどの窒素肥料を補う必要があります。
・水分量
堆肥の発酵には適切な水分が重要で、水分の多い牛糞や豚ぷんなどを材料とする場合には、バークやおがくずなどで水分を調整し、通気性を良くし、発酵を促します。
・有機物のC/N比
肉片、鶏ふん、酒かす、油かす、おから 5~10
豚ぷん、牛ふん、米ぬか 10~25
稲わら、籾がら、麦わら、剪定枝 60~80
竹 280、
樹皮、バーク 100~1300
・有機物の発酵プロセス
①発酵が始まると、分解しやすい糖やアミノ酸、デンプンから分解が進み、糸状菌や好気性細菌によって分解され、その呼吸熱によって発熱が起こります。
②次に植物細胞壁の成分であるペクチンの分解が始まります。
③その後、糸状菌は50~60度以上になると減少し、高温性で好気性の放線菌が増殖してきます。
④そして、糸状菌が分解できなかったセルロースを放線菌が分解することで、分解しにくい繊維質などの分解が進みます。
⑤最後に、放線菌の食べるエサがなくなると温度がゆっくり下がり、最も分解しにくいリグニンの分解が始まります。
このときに、さまざまな微生物が繁殖しはじめ、堆肥として利用できるようになります。
・温度は80度以上まで上昇します。
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